2016年3月14日月曜日

定例活動報告 囲炉裏端の茅仕事・雪原かんじき体験, 地域イベント「キャンドルナイト」お手伝い


塾の2015年度最後の定例活動⑦ 一般参加歓迎プログラムは、3月12日、13日の両日、
地域イベントに合わせて行いました。参加者は19名、うち、お母さんの一人に付き添われた小学6年生(女の子)3人が卒業旅行を兼ねて参加、お祖母さんに付き添われた孫(3歳と6歳の姉弟)も参加して平均年齢をグ~ッと引き下げました。そのほかのメンバーは会員とリピーターでした。
  今回の活動では自然現象に驚愕させられ、子供たちの成長を知らされました。 
  まず、積雪が極端に少なかったこと。
  雪の少ない冬と聞いていましたがそれでも上ノ原は2m近いだろうと思って現地に行ってみると広場で20cm程度、いつもは屋根の部分だけしか見えない看板が全部見える状態です。全体を見回すと斜面は地面が出ているところもあります。これほど少ないとは想像を絶する少なさです。

例年は屋根の下までの雪だが・・・



もちろん、藤原集落内もまるでいつもの野焼きの頃(4月中旬)の様子。村の古老の言葉を借りれば「おいら80年ちょっと生きているがこの雪の少なさは100年以上ぶりじゃなかろうか」。今年は春が極端に早く、4月16日に予定している野焼きのための除雪も必要ないでしょう。その分万全な態勢で臨まなければなりません。

 つぎに、参加者の中に、小学低学年のころ時々参加してくれていたSちゃんがいました。久しぶりに会った彼女は、身長も伸びてこの春には中学生。もう一つ、地元に移住したNさんの長男自然児を地でいくMちゃんのリズム感あふれるファイヤー・パフォーマンスが圧巻の出来、KS姉弟も秋の茅刈の頃よりずいぶんと違う、子供の成長ぶりに驚かされました。

 初日は、地元「NPO法人奥利根水源地域ネットワーク」が主催する地域イベント「みなかみかまくらまつり&キャンドルナイト2016」の準備作業のお手伝いです。
  かまくらは雪が少ないことから1基のみとなり、キャンドル台をつくりゲレンデに設置とキャンドルメッセージつくりとなりました。やっている時は地味な作業でしたが、夕食後、再び訪れ、点火されてゲレンデに浮かび上がった「みなかみ 10th」を見たときの感激が大きく報われた気持ちになりました。

メッセージキャンドルに感激




 イベントはこのあと、プロ集団、GROPIKAさんのファイヤー・パフォーマンスと地元、藤原ファイターズの
パフォーマンスが披露され、前述のMちゃん5歳の堂々たるダンスに万雷の拍手となりました。締めくくりは、打ち上げ花火、吉野さんや北山さんたちの企画力と行動力が今年も発揮されていました。
 
幻想的な雪灯り


M君が注目された藤原ファイターズのファイアーパフォーマンス

今年も「どーん」といこう


 
 

 2日目は、大幽洞氷筍までの雪原トレッキング組と古民家での茅スグリ作業組に分かれて行動しました(雪原トレッキングは、小学生3人を含めて9人が参加。別途参加者に感想をいただくことになっていますのでそれに譲ります)。 

茅スグリ組は、幼児を含めて10人。一畝田古民家を使っての作業です。
まず、囲炉裏に上ノ原でNPOが焼いた木炭を使って火を熾します。
ブルーシートを敷き、あらかじめ運び込んであったボッチのスグリ作業を、藤原最後の茅葺職人阿部惣一郎さんの指導で行いました。

 はじめにお手本を示してもらいました。
師匠がお手本を
 
 
手順は、一握りの茅を取り、まず裏(穂の方)から鎌の柄で逆立たせ、次に元の方から刃を使って落として行き、茎と穂先付近の葉だけの状態にして束ねてゆきます。このように鎌の柄と刃を使い分けてのスグリ作業が本来のやり方ですが慣れないとこれがなかなか難しく能率も上がりません。
そこで、この作業のために作った茅スグリ器を使ってみると出来栄えも変わらず意外と使いやすい道具でした。これは使えます。

茅スグリは、囲炉裏端に座ってやる藁仕事のイメージでしたが藁と違って草丈が高いため立ち作業となり、暖房は囲炉裏だけの寒い古民家でしたが作業中はそれを感じないほどでした。1時間半ほどの短い時間でしたのでようやく10束を作り上げました。
はじめての茅スグリの成果

 
 

この間K,S姉弟コンビは古民家の中を電車ごっこなどで駆け回りマンションではできないドタバタが出来て大喜びのようでした。

この茅スグリ作業、今後はメニュー化しますが雨天時の作業にピッタリです。
付加価値を付けた茅束を供給できる可能性が広がりました。

11時半には今回の宿の民宿「樹林」から郷土食ボタと味噌汁が届きました。
 
囲炉裏端のボタ焼 
 

茅スグリはここでやめて、囲炉裏端でボタを焼いていきます。やがてクルミ味噌の香ばしい香りが古民家に漂う頃、トレッキング組が帰ってきて冷えた体を囲炉裏と味噌汁で温め、焼き立てボタをいただきました。

 今回の活動は次世代層の参加により来る春のように躍動的で笑い声にあふれる情景となりました。
    写真の一部は米山さんから写真を提供いただきました。   

                                              草野 記

2016年3月4日金曜日

青水の流域連携活動

 青水が最上流域で活動している利根川の流域面積は、日本一の16,840平方キロメートル。関東地方の半分以上です。その流域では様々な自然再生の取り組みがあります。青水では流域連携活動として、1月は小貝川と菅生沼の野焼き、2月は千葉県野田市の東京理科大学理窓公園での湿地造成活動に参加しました。

【 小貝川の野焼き 1月23日】

 小貝川は栃木県烏山市の小貝ケ池から関東平野を南流し、茨城県の取手市と利根町の境界で利根川に合流する、全長112キロメートルの河川。利根川の支流では鬼怒川に次いで2番目の長さです。野焼きの場所は常総市の水海道駅から徒歩15分程の小貝川右岸の河川敷です。

主催者挨拶
かつて、利根川の中下流域では、屋根材や家畜の飼料などを得るための草刈りによって、ヨシやオギなどの草原が維持されていました。それが河川の改修などによって洪水による自然の攪乱も少なくなり、暮らしの変化によって草を刈ることも無くなると、植物の生育環境も変化して、タチスミレやヒメアマナ等、草原固有の植物の絶滅が危惧されるようになりました。そこで野焼きという人為的な撹乱によって草原を維持し、希少植物の保全を図るのが「小貝川の野焼き」の目的です。
 小貝川の野焼きは、地元の水海道自然友の会を中心に茨城県自然博物館などの協力で、昭和61年から行われています。この日は青水の会員、会友9名を含む総勢約60名ほどが午前9時に河川敷に集合。主催者挨拶に続いて作業内容や注意点の確認がありました。

 その後、参加者は熊手やレーキ、刈払い機を使って防火帯を整備に汗を流しました。そしていよいよ火入れです。
 

 野焼きは天候に左右されます。この日は風がほとんどない穏やかな天気で、火は中々広がりません。途中で消えてしまうこともあります。それでも背の高いヨシが密集して生えている場所では大きな火が上がり、熱風が押し寄せます。消火用のジェットシューターを背負った学生たちも気を引き締めます。

 燃え残ったところ部分は枯れ草を集めて焼くなどしながら、順番に三ヵ所での野焼きを進めていきました。








【菅生沼の野焼き 1月24日】

  菅生沼はヨシやオギが生い茂る232ヘクタールの湿地で、約五百種の植物が生育していますが、ここでもタチスミレなど十八種の絶滅危惧種が確認されているとのことです。
これらの絶滅危惧種を救うには、草刈りや火入れなどの人為撹乱が必要であり、そうした稀少種を将来にわたり維持してゆくことを目的として、茨城県自然博物館を中心に地域住民や関係者によって野焼きが行われています。菅生沼の野焼きには青水会員2名が参加しました。


【理窓公園の湿地創出 2月14日・21日】




 利根川と江戸川を結ぶ利根運河は、明治時代に開削された日本初の西洋式運河です。都市部に残された希少な生物の生息場となっていますが、現在、周辺自治体や有識者、市民団体等でつくる利根運河協議会により、自然や歴史と調和した美しい運河空間を目指す「利根運河エコパーク構想」の実現に向け、様々な取り組みが進められています。
 昨年から始まった千葉県野田市・理窓公園での湿地造成は、この遠大な「利根運河エコパーク構想」の一環として、理窓公園のある東京理科大学や東邦大学等により、取り進められています。
 昨年造成された二つの池は、理科大生、東邦大生によってそれぞれ「つるまつ池」「うおまつ池」と命名されていました。つるまつ池の「つる」は、コウノトリのことです。今回はうおまつ池の隣に二十坪程の水田型湿地を造成します。
 まず14日は、対象区域の草刈りと用水路の掘削、浚渫作業です。青水からは5名が参加しました。
 この日は前日からの悪天候を考慮し、集合時間が9時から10時に変更。まず教室で作業の目的と内容の説明、確認が行われ、11時くらいから現場に移動し作業を開始しました。この日は全国で春一番が観測され、昼前には太陽も復活し気温も上昇。草刈りの後は泥掻きの作業となりましたが、長々靴や胴長をつけた学生たちが、汗まみれ泥まみれで作業しました。
  用水路に溜まった泥をショベルで掻き出そうとしても、牛蒡のような根っこが蔓延っているのが邪魔で、上手く掘れません。ショベルの先で根っこを切断してやっと掻き出すと、泥が体や顔に跳ねてきます。
 21日は、いよいよ本格的な水田型湿地の造成です。青水からは4名が参加しました。



 

 スコップで湿地にする場所の土を掘り返し、畔を築いてゆくとともに、湿地までの用排水路を切り開いてゆきました。ここも太く丈夫な根っこが張っており、スコップを駆使しながらの泥と根っことの格闘のようでした。
また、作業区域に面して散策路がありますが、その下に四五メートル程のコンクリートの土管が埋めれ、水路とつながっています。その土管の中に土砂が溜まっているため、水の流れがスムーズでないようです。そこで両側から竹の棒でゴシゴシと土砂を扱きだしてゆきました。



 最後に土のうで水路の水位を上げ、湿地型水田に水を引き入れて、作業は終了となりました。

理窓公園水田型湿地の情報は下記のブログを御覧下さい。
 http://toneunga.blog.so-net.ne.jp/ 「理窓公園の観察日記」
利根運河エコパーク・利根運河協議会にいては、下記のサイトをご覧下さい。
http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/edogawa00183.html 

近い将来に、理窓公園の湿地にコウノトリが舞い降りる姿を見ることができるかもしれません。利根川流域全体にこのような活動が広がってゆけば、本当に素晴らしいですね。
(稲 記)