2016年5月30日月曜日

5月定例活動 山菜採取編


 山菜組は、その日に宿泊する民宿Sの女将・Yさんの指導により、上ノ原の茅場東側のカラマツ林内で、山菜のミズを採取しました。

途中、上ノ原で見られる山野草についてのお話を聞きながら、茅場を抜けて木馬道に入り、ミズナラ林伐採試験地から炭焼き窯の前を抜けてカラマツ林へと進み、「ミズ」の群生している場所へ案内していただきました。ミズの公式な名前は、「ウワバミソウ」と言います。ウワバミは大蛇のことで、蛇が沢山いそうな湿地によく生えることから、この名前がついたそうです。実際に案内いただいたミズの群生地は、写真の通りシダの生い茂る沢筋で、蛇と遭遇しそうな環境。でも皆さんはミズについての説明を受けると、躊躇することなく沢筋へと降りてゆきました。
 
 

途中、アクシデントもあって、全員で山菜採りはできませんでしたが、採取したミズは充分な量。持ち帰ったミズを水汲み場の前に集め、全員で葉を落とす処理を行いました。
 



 

その日の夕食では、ミズのお浸しや炒め物はじめ、ワラビやコシアブラ、塾長が採取してきたニセアカシアの花など、採れたて、揚げたての山菜のてんぷらに舌鼓を打ったことは言うまでもありません。

上ノ原は山菜の宝庫です。守るべきルールを含めて楽しく学びながら、活用してゆきたいと思います。(稲 記)

2016年5月29日日曜日

群馬県植樹祭に参加しました

 5月28日、群馬県植樹祭に参加しました。
当日は、曇り空で微風がある絶好の植樹日和の中、川場村世田谷区友好の森に約300人を集めて行われました。
 今年のテーマは「そだてよう 大地をつつむ ゆたかな緑」です。
 オープニング・アトラクション、式典、クロージング・アトラクションと続く中で、川場小学校の生徒の緑のメッセージの次のフレーズが印象的でした。
それは「今日植えた一本の木がわたしたちの生活にどれほど役に立つかもう一度皆さんと一緒に考えてみたいと思います」です。
川場村の子供たちは緑の大切さを感じて未来をしっかり見つめています。
川場村は次代の人材育成にも力を入れていることがわかるメッセージでした。

これまで、青水がこのような式典に招待されることはなかったのでどのような経緯なのか、みなかみ町役場か群馬県森林ボランティアセンターの推薦かと思っていたら、群馬県の出先、利根沼田環境森林事務所の推薦であることがわかりました。塾が毎年実施している群馬県花と緑のクリーン作戦の実績による招待でした。事務局が千葉なので参加してもらえるか心配でしたとの担当者のお言葉でした。
 このような式典にお招きいただきありがとうございました。



心を込めて植えました

                                              草野記

2016年5月27日金曜日

5月定例活動 茅株の移植と新緑の散策ほか


森林塾青水の5月の定例活動を好天に恵まれた21日~22日、群馬県みなかみ町において13人の参加で実施しました。
1日目のメインは、参加者を山菜の採取と茅株の移植の2班に分けての活動でした。茅場(ススキ草原)の管理の一環として、茅(ススキ)の密度が低い場所への茅株の移植は少しずつ手掛けてきましたが、定例活動に取り入れたのは初めてですので、今回はこちらを報告しましょう。
参加したのは4名。場所は、上ノ原の茅場を貫く作業道脇の一画で、以前から移植を進めてきた部分です。まず初めに鍬を使った移植手順の説明を受けました。茅はひとまとまりの株として生育しているケースが多いので、作業道の南側から掘り取った茅株を、茅株の密度が低い北側に掘った穴の中へ移して周りを踏み固めれば、1回の作業が完了します。とは言え、やってみると茅場の土はかなり固くしまっていて、大きな石が埋まっていることもあり、なかなかの力仕事でした。鍬は1枚板の唐鍬と3本爪の備中鍬とを持っていきましたが、細い爪は硬い地面で曲がってしまい、唐鍬の方がはるかに使いやすかったです。それでも曲がった爪をそのつど直しながら、なんとか力を合わせて1時間ほどで約  
20株を移植し、この日の作業を終えることができました。移植した株がこれから順調に
活着し、新しい場所で元気に育つことを祈っています。


茅株の移植
 

2日目は、湯ノ小屋川に沿いに車を走らせ、標高1500m付近にある「奥利根水源の森」まで出かけての自然散策がメイン活動となりました。コースは駐車場のあるキャンプ場から約1kmを上って行く「森林浴のみち」です。看板によると約20分の行程ということでしたが、少し歩いては立ち止まっての観察を繰り返したため、1時間以上かかりました。ちょうどブナの新緑が鮮やかになりだしたところで、その美しさに目を奪われました。またハウチワカエデやウリハダカエデ、オオカメノキやオオバクロモジなども開花の時期を迎えていました。昨年が豊作だったというブナをはじめ、林床には多様な木々の芽生え(実生苗)も多く見つかり、どの参加者も興味が尽きない様子でした。
ブナの森に咲くウリハダカエデの花
 
ブナの新緑とハウチワカエデの展葉


 
このブナの森は、林野庁が択伐による広葉樹林の天然更新を試みてきた場所でもあります。ただしササが優占している場所もあって、そこではブナの実生苗もやがてはササに光を奪われて、枯れてしまうことが多いようです。かつて、こうした更新作業にも関わった経験のある草野塾長の評価によると、現状は70点だとか。今後、この森が長い年月の中でどうなっていくのか、とても気になるところです。散策を終えて戻ったキャンプ場で、宿から持参したおにぎりと山菜類で昼食を済ませ、水源の森を後にしました。
 
択伐の説明

 

                                       以上 米山記


1日目の車座講座は、塾の発足当時から大変ご支援いただいている林 親男さんにお願いしました。
 林さんは、藤原の発展をいつも考えて様々な活動を行っておられます。
 これまでも地域交通の運行に貢献され、町会議員も務められた郷土愛あふれる方です。
お聞きしたタイトルは「ダムができたころからの藤原の変貌」。戦後のダムができる前の藤原の様子を伺い、ダムができた経緯や藤原が変わっていく様子を語っていただきました。お話の中にたびたび出てくる「藤原の為には・・・」とこれからの藤原を託する後継者達への言葉として「無理やり押し付けても長続きしない、本人たちがやる気になることが一番」が印象に残っています。

今年度第1回車座講座

2日目の水源の森林を散策する前に参加者の皆さんには、県道の草刈と側溝整備行っていただきました。群馬県クリーン作戦作戦い今年も参加です。

青水のメットをかぶって


上ノ原の賑わいコーナー
上ノ原のミツバツチグリと甲虫?

         
                                                           以上 草野記
 







 

2016年5月12日木曜日

麗澤中1年生139名と樹木観察会

柏市の麗澤中学1年生の樹木観察会が57日土曜日に開催されました。
森林塾青水は13年位前から関わり、以前は日大生物資源学部の教職課程の大学生のサポートでしたが、3年前から森林塾青水が全面的にプログラムを作成し、メンバーがインストラクターとして案内しています。

麗澤の構内は森のようなキャンパスで、広場にはケヤキなどの大木がありますが、一番有名なのがヒトツバタゴ(別名なんじゃもんじゃ)の白い花が少し残っていました。
今年は1学年139名を8グループに分けて、各グループに2名インストラクターが付きました。例年より12週間早い実施日ですが、温暖の気候のせいか、花の時期も早いような気がします。

広場の大木の下で導入を行い、今年初めての発見ビンゴの説明もしました。最初はタネ探し、次に木の芽生え探し、樹種の違い、木の大きくなるスピードの違い、ふかふか腐葉土、葉っぱに触れて匂いを嗅ぐなど、五感を使って樹木の発見や気づいたことをメモしていきます。
なるべくしゃべらないで生徒に気づかせることはなかなか難しいですが、最後の振り返りのまとめで、一応今日の気づきについて発表してもらいましたが、こちらの意図したことと、意図しない発見が発表されていました。




例年は、7月にみなかみ町藤原のフィールドワークでしたが、10月終わりに変更になり、茅刈りを体験してもらう予定です。 あさかわ

2016年5月8日日曜日

第15回定期総会を開催



◆事業計画をはじめ、新年度の方針が承認 次のステップに向かって

 

塾長挨拶


 

  森林塾青水の第15回定期総会が、去る4月9日に東京都渋谷区の区立氷川区民館において開催され、昨年度一年間の活動を振り返るとともに、新年度の事業計画・予算案、また会則の一部変更などについて審議し、今後一年間の活動内容が承認されました。
また、総会では議事に先立ち、みなかみ町商工観光課の木槫晴彦氏に挨拶をいただき、4月1日付のみなかみ町の人事異動による木槫氏の自然観光グループのグループリーダー就任と、新しく当塾の担当となった同グループの小野里宏主査のご紹介を戴きました。


                みなかみ町木槫氏挨拶

 
 発足から15年を迎えた森林塾青水は、これからも「継続はチカラそしてタカラを作る」の理念のもと、上ノ原のフィールドを拠点に、流域全体との連携を大切にしながら取り組んでまいります。今年度の役員構成と事業計画は次の通りですので、引き続き皆さまのご理解とお力添えをお願い申し上げます。
◆今年度役員構成
塾長 草野  洋 全般統轄

塾頭 北山 郁人* 全般統轄補佐・プログラム企画・みなかみ事務所長
 (地元・みなかみ町役場ならびに支援企業との連携窓口古民家再生・活用、フットパス    
 整備・活用、麗澤フィールドワーク など)

幹事 浅川  潔 事務局長(企画・予算統括、総会、幹事会、草原サミット、麗澤中調整 ほか)

稲  貴夫 情報宣伝・啓発(「茅風」編集長、東京楽習会、総会/セミナー)

岡田伊佐子 自然ふれあい学習、東京楽習会、総会/セミナー

高野 史郎 学監(麗澤中「樹木観察会」「奥利根FW」、自然ふれあい学習)

西村 大志 草原再生ネットワーク、草原サミット

増井 太樹 事業総括(流域コモンズ・連携促進、生き物調べ、モニ1000、

松澤 英喜 事務局長補佐(発信活動促進、会員管理、H/P・ブログメンテ、「茅風」編 
 集、「総会」「幹事会」、助成事業 ほか)

吉野 一幸 地元代表(地元の活動参画促進、NPO奥利根ネットワーク、まちおこし委員 
 会、古民家活用・交流促進、古道フットパスの活用、地域貢献プログラム)

米山 正寛 コラボ/森林文化協会、発信活動拡充、流域コモンズ

監事 林部良治 会計(年会費、経理統括)
顧問 原  剛 安楽勝彦 笹岡達男 滑志田隆 清水英毅

オブザーバー/相談役
   小野里 宏* 行政/みなかみ町役場窓口(観光課自然観光グループ)

   林  親男* 地元/「上ノ原運営協議会」窓口(藤原案内人クラブ)
川端 英雄 アドバイザー

  *印はみなかみ町在住の役員です。
 
◆今年度の事業計画と活動日程
 総会では、前年度の事業報告と収支決算とともに、今年度の事業計画と予算案が承認されました。主な事業計画と活動日程は下記のホームページに掲載してありますのでご覧ください。
http://www.commonf.net/?page_id=32

 参加のご案内は、開催日の約一カ月前を目途にホームページに掲載する予定です。皆様のご参加を心からお待ちしています。

●セミナー

「森を切ったら草原に戻るのか?~上ノ原で分かったこととこれからについて~」
           講師:増井太樹氏(青水幹事、岐阜大学津田研究室)
 
 本年の総会では、当塾幹事であるとともに、現在岐阜大学の津田研究室で草原の研究に取り組んでいる増井太樹氏より、表記のテーマでお話をいただきました。
 話の中心は、上ノ原のミズナラ林伐採地において、増井幹事を中心に調査が進められている森林から草原への人為的な遷移についての調査に関するものです。テーマはまさに、里山の保全と草原の再生、活用に取り組む青水の課題そのものであり、参加者からの様々な質問も含めて、非常に有意義なセミナーとなりました。
増井幹事からは最初に上ノ原草原の特徴とともに、これまで実施してきた温度測定実験の結果を踏まえ、草原の野焼きを「カツオのたたき」に譬えながら、地表部分も最大五分程度、最高300℃代の温度上昇で、地中の温度は上がらない草原の野焼きが植物に与える影響について話がありました。

増井さんのセミナー風景
続いて、上ノ原ミズナラ林伐採地での調査研究の目的について話がありました。上ノ原以外でも草原再生に向けた取り組みが各地で行われているとのことですが、草原再生のメカニズムは、意外にもいまだ解明されていない部分が多いとのことです。そこで、四十年前までは草原であった上ノ原のミズナラ林を現在にように伐採したあと、そこにどのように草原性の植物が侵入してくるのか、そしてどのような植物が残存して群落となってゆくのかを調査してゆくことで、草原再生のメカニズムを解明することが、本調査の主要な目的です。
そのメカニズムには、
 
 ①土の中に眠っていた種子が伐採後に生育する
 ②今まで林内で生存していた種が、伐採後に生育する
 ③林外から種子が散布される
という三つのパターンが想定されるとのことですが、航空写真からも、明らかに四十年前までは草原であった上ノ原のミズナラ林で、このような調査を実施することの大きな意味を確認することができました。
 そして2014年からの始められた現地での細かな植生・モニタリング調査の結果をもとに、現在において推定される事柄についてお話しいただきました。それによると、40年前までは草原であったにも関わらず、ミズナラ林伐採前の林内には草原と同じ植物は殆ど確認できませんでしたが、伐採の翌年には優占種に大きな変化は無かったものの、草原性植物の僅かな増加が確認されたとのことです。
草原再生のメカニズムを解明するには、今後、さらに長期的でキメ細かな調査が必要ですが、そのためには今後も伐採区の管理を継続してゆくとともに、上ノ原に関わる大勢の人たちが楽しみ汗をかきながら、そしてある程度の精度のある調査が必要とのことでした。今後、青水が茅場のみならずこの試験地とどのように関わって行くべきか、課題とともに期待と希望が湧いてくるセミナーとなりました。
                               (報告 稲)